北海道移住計画コラム「北夢人」 > 大好きな北海道で農業をするため。

北夢人

ナナカマド林に佇む

新聞記者から農業者へ転身
美瑛町は旭川空港から車で約15分。四季折々に丘を彩るパッチワークのような景観の美しさから「丘のまち」として、全国にその名を知られています。取材に訪れた日は、一面の雪に覆われた丘が神秘的な美しさで輝いていました。
白い景観の中に凛として佇む角和邸。2007年11月に完成したこの家が、角和浩幸さん妙子さん夫婦の新たな夢の拠点です。二人の夢は、農業者として自分たちで農作物をつくり、生産した農産物を提供するファームレストランを開くことです。
浩幸さんは現在40歳。高校までを横浜で過ごし、京都の大学へ進学。卒業後は京都で新聞記者として活躍していました。「北海道が大好きで、学生時代から20回以上も北海道へ来ていました。いずれ北海道に住みたいと思っていましたが、やがて、北海道で農業をすることを、現実的な選択肢として考えるようになったんです」と話す浩幸さん。そして選んだのが、素晴らしい景観に魅力を感じていた美瑛町でした。

自然の中でものを生産することの素晴らしさ
それにしても、第一線の新聞記者というキャリアを捨てて農業に転身することに、不安はなかったのでしょうか。つい、そんな質問をしてしまいました。
会社という組織を離れて自分ですべてを決定する生き方がしたい。そして、北の大地で自分の力を試してみたかったんです」と浩幸さんは話します。2005年3月に単身で美瑛町に移住し、2年間、新規就農に必要な研修を行いました。自然の中で暮らし、大地で作物をつくることに大きな魅力を感じていた浩幸さんでしたが、農業研修をする中で、農業を取り巻く様々な厳しさにも直面しました。「思った以上に肉体労働が厳しいことや単純作業が多いこと、また、農業経営の厳しい現状も再認識しました」と話します。でも、だからこそ、夢は大きく広がるのです。「農薬や化学肥料を使わずに、ジャガイモ、アスパラ、カボチャ、スイートコーンなど50品目くらいの野菜を作りたい。そして、とれたての野菜のおいしさを味わってもらえるレストランもオープンします」と話します。

ファームレストランと貸しコテージ
「旅行で訪れたときに、美瑛町の野菜は本当においしいと感じて、畑で採れたものをそのまま食べたいと思いました。だから、ファームレストランでは、新鮮な野菜のおいしさをシンプルに味わってもらえるようにしたいんです」と話すのは、奥様の妙子さん。浩幸さんとは大学の同級生で15年前に結婚。妙子さんは、弁護士として活躍してきました。農業研修のために先に美瑛町に移住した浩幸さんのもとへは毎月来ていましたが、住居の完成を機に、生活の拠点を美瑛町に移しました。「当面、夏は農業を主に行い、弁護士業は冬期間だけにします」と話しますが、美瑛町では初の弁護士とあって、既にいくつかの相談が寄せられているそう。住居の一部には、妙子さんの法律事務所が併設されています。
大きな三角屋根の住居は、1階に約20畳の部屋があり、ここがレストランに。吹き抜けの高い天井には、安曇野から運んだアカマツのどっしりとした梁がかかり、木の床と格子の戸が古民家のような落ち着いた雰囲気を醸し出しています。敷地内には、家族や団体など大勢で利用できる貸しコテージも新築しました。
ゴールデンウイークころには、レストランをオープンするとあって、京都の友人たちは、美瑛を訪れるのを今から楽しみにしているとか。角和邸から、また一つ、美瑛の魅力が全国に向けて発進されるのではないでしょうか。


角和浩幸さん・妙子さん(北海道・美瑛町)

あずみ野丸太を取り入れた
古民家風な空間

総パイン材のコテージ